タイトル通り、古今東西の人間の臨終の様子が綴られた本である。全4巻で、実に923人分。
奇書だという評判はあったし、これまでにも『悪の教典』で警句が引用されたりしていたが(そして何の因果か山田風太郎賞を受賞した)、まさかミステリー小説で物理的に用いられる日がくるとは思わなかった。
ISBN:9784198934668
出版社:徳間書店
監修:山田風太郎
本体686円+税
というわけで、『図書館の殺人』でこの本が凶器になると知って、ついつい、紹介することにしてしまいました。923人の半分――単純に考えて約460人分の死の重み――と思うと、たしかにかなりの衝撃がありそうです。
残念ながら、凶器になったハードカバー版(上下巻)は入手困難なので、文庫新装版なのですが。
実際、読んでみると、文章はあくまで淡々として簡潔ながら、「人間の死」を(歴史上の単なる出来事としてではなく)まざまざと突きつけられているような感覚に陥ります。収録された人物が死亡年齢順に並んでいるのも(Ⅰ巻には40代で亡くなった人々まで収録)、なにやら無常感を誘い、興味深くもある意味疲れる読書体験になるでしょう。
全巻そろえて手元に置いておきたい作品ながら、通読すると(精神的な意味で)結構な衝撃がありますので、まずは気になる人物の記事から拾い読みが安全かもしれません。