学力の経済学/ディスカヴァー・トゥエンティワン
中室牧子・著 / 1,728円(税込)
我が子の教育について、「何を信じ、何を参考にするか」頭を悩ませている方は多いだろう。そんな教育の問題に、経済学の理論や手法を用いて分析し、「知っておかないともったいない事」を解説したのが本書である。
現在、メディアではさまざまな評論家やタレントがそれぞれの教育論を展開している。しかし、本人の経験談や信念・価値観によるものが多く、必ずしも自分の子に当てはまるとは限らない。本書ではそういった主観的あるいは抽象的なものではなく、科学的な根拠を用いて説明できることに的を絞った上で、具体的な教育論を展開している。
例えば、「子供をご褒美で釣ってはいけないの?」という問題。答えは「釣ってよし」。但し、いい成績を取ったことではなく、何時間勉強したというようなインプットや過程を褒めるようにすること。こどもが小さいうちはお金ではなく同額のトロフィーのようなものにすること。
といった具合なのだが、本書の特徴は、なぜそういう結論になるのかについて、調査分析結果を用いて理路整然と説明してあるところである。
他にも「テレビゲームは1日1時間くらいであれば成績に影響しない」、「“勉強しなさい“はエネルギーの無駄遣いでむしろ逆効果になる場合もある」等、普段どういうスタンスで望むべきなのか迷うところに、説得力のあるヒントがずらり。
とは言うものの、全ての手法が全ての子供に一律に通用するものではないのが子育てである。何を信じ、何を参考に実行するか、その結論は自分自身で決断すべきであろう。私も二児の父親。子供には真に自立した大人になって欲しいと思っている。その為にもまずは子供に向き合う時間を増やすことから始めてみたい。
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